滋賀の建設業許可ブログ

経営業務の管理責任者になれる人

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経営業務の管理責任者が難関

建設業許可を取得するうえで最もクリアするのが難しいのが、この「経営業務の管理責任者」になる者がいることを証明することです。

これから建設業許可を受けようとお考えの方は、まずこの経営業務の管理責任者になれる者がいるかどうかを確認するところから始めてください。

 

そもそも経営業務の管理責任者とは

経営業務の管理責任者と言われるとピンときませんが、わかりやすく言うと経営者かそれに近い立場の人のことです。

個人であれば個人事業主としての経験がそのまま経営業務の管理責任者の経験となります。これはシンプルでわかりやすいと思います。

次に、法人の場合はというと、少し複雑になってきますので列記していきますと、

▪常勤の役員としての経験

▪建設業許可を受けている会社における営業所の所長としての経験

▪支配人としての経験(登記されていることが必要)

この3つが主に経営者としての経験になってきます。

単に建設会社の社員であっただけの期間や、建設会社の監査役であった期間などは含まれませんので注意が必要です。

また、国や県から出ているマニュアル等には「経営業務の管理責任者に準ずる地位」でもOKだとされています。

これは役員や所長のように誰が見ても経営者というわけではなくても、実際に与えられている権限などから判断すると、ほとんど経営者と変わらない立場と考えてもらうと分かりやすいかもしれません。

経営業務の管理責任者がいなくて許可をあきらめている方でも、よくよく考えてみると要件を満たしている場合もあったりします。

しかし、この場合にはたくさんの証明書類を用意しなければなりませんので、執行役員であった場合などを除くと、現実的に証明することはかなり難しいと言ってもいいと思います。

 

どの程度の経験年数が必要か

ここではシンプルに解説していきたいと思いますので、「準ずる地位」は考慮せずに、単純に経営者としての経験のみでみていくことにします。

ずばり、5年以上あれば大丈夫です。

たとえば、今までに「土木工事業」の経営者としての経験が5年以上あって、許可を取りたい業種が「土木工事業」であれば、この時点でクリアです。

しかし、この人が「舗装工事業」を取りたいと思った場合には、「土木工事業」の5年の経験では取れません。この場合は7年以上ないとクリアできません。

もっとも、今行っている業種で許可を取ることの方が多いわけですから、まずは5年以上というのがポイントになってくるのではないでしょうか。

 

 

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滋賀県の建設業許可ではこのように証明する

建設業許可申請は全国共通ではない部分も

建設業許可申請は、都道府県によって少しずつ違いがあります。

たとえば、滋賀県では必ず添付しなければならない書類に「身分証明書」というものがありますが、これが他府県ですと「住民票」とされているところもあります。

少し話がズレてしまいましたが、要するに滋賀県で許可を取るのであれば、滋賀県のやり方で申請をしなければならないということです。

このことは、経営業務の管理責任者や専任技術者などを証明するときにも同じことが言えて、この証明の仕方については必要書類の違い以上に、都道府県ごとの裁量の色合いが強いのではないかと思います。

 

どのように経営業務の管理責任者を証明する!?

違いについては、なんとなくご理解いただけたのではないでしょうか。では、今回は経営業務の管理責任者について、滋賀県ではどのような書類をもって証明することができるかについて見ていきたいと思います。

 

個人事業主の経営経験の証明方法

いろいろと一般論で書いても、「結局のところどうなの?」という内容になってしまいますので(要件の証明は複雑です)、今回は個人事業主について見ていくことにしてみます。

そして、この個人事業主が現在行っている業種で許可を取る前提、つまり5年間の経営経験で証明する場合を想定して説明していきます。

 

確定申告書は5年分ありますか?

個人事業主として、しっかり確定申告をしている必要があります。少なくとも5年分以上は用意できないと、そもそも個人で営業していることを証明することができません。

そして、この確定申告書は5年分が連続していなくても大丈夫です。どこか1年分だけが飛んでいても、とにかく5年分あればOKです。

 

確定申告書がないばあいはどうするのか?

確定申告をしっかりしていれば、確定申告書が手元になくてもそんなに心配される必要はありません。税理士に確定申告を依頼されている方であれば、税理士に確認すれば持ってらっしゃる可能性も十分あります。

また、今は電子申請でされている方も多いので、その場合は電子申請した際に、税務署が受付を確認した返信メールを添付すれば大丈夫です。

 

所得証明書でも証明できる

滋賀県の建設業許可マニュアルを見ますと、「確定申告書または所得証明書」というように書かれています。

確定申告が手元にない場合は、この所得証明書で証明することも可能ということです。

そして、所得証明書は市町村で発行してもらうことができます。

しかし、ここで注意していただきたいのは、いくら所得証明書で証明できるといっても、やはり確定申告をしていないと意味がありません。

所得証明書は、課税証明書とも呼ばれ、簡単に言うと、市町村は確定申告で支払った税金をもとに証明書として発行してくれているという感じです。

ですから、確定申告をしていないと、当然、何の収入もない状態と判断されているわけですから、所得証明書には何も数字が記載されないことになり、経営者としての経験を証明する材料にはなりません。

 

確定申告書の年度に対応する契約書が必要

確定申告書が用意できたら、次は工事の契約書等があるかを確認します。この工事の契約書等は、下請が中心の場合は発注書や注文書でOKです。

そして、確定申告書の年度と同じ年度の契約書等を、各年1件ずつ用意します。

たとえば・・・

確定申告書が、「H28、H27、H26、H25、H24」の5年分であれば、

契約書等も、「H28、H27、H26、H25、H24」の5年分になります。

つまり、確定申告と、それに対応する年度の契約書等が1枚そろって、1年分の経営経験とされるというわけです。

 

もし、契約書等がない場合は

建設業では、契約書等を交わさずに工事をすることも少なくありません。また何年か前の契約書等は捨ててしまったという方もいるかもしれません。

でも心配無用です。そんなときは「発注者証明書」で契約書等のかわりにする方法が用意されています。

 

 

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発注者証明書の書き方

発注者証明書とはこんな書類

経営業務の管理責任者や専任技術者になる人がいることを証明する書類の一つに「契約書等」があります。

この契約書等とは、工事請負契約書や、発注者からの注文書・発注書のことを指すわけですが、事情によって手元にないこともあるかもしれません。

そんなときに登場するのが「発注者証明書」です。

発注者証明書は、その名の通り、発注者に以前に契約した内容を証明してもらうための書類です。契約書や、注文書・発注書を再発行してもらうようなイメージで考えてもらうとわかりやすいかもしれません。

ですが、やはり契約書や、注文書・発注書が手元にあることが望ましいですし、この書類はあくまで救済的な役割のものであると考えていただいた方がよいでしょう。

 

契約書等がない年度をおぎなう

たとえば、以前にお話した経営業務の管理責任者を証明するには、5年分の確定申告書と、5年分の契約書等が必要でした。

しかし、5年分の契約書等のうち、どこか1年分がない場合もあるかもしれません。そんな時は、足りない年度の1件分の工事内容を発注者証明書記載してもらえばいいわけです。

極端に言えば、5年分の契約書等がないのであれば、5年分の発注者証明書を書いてもらうことも可能ということです。

 

書き方のポイント

これが、実際に滋賀県でも使われている発注者証明書です。

滋賀県の発注者証明書(見本)

この書類では、1年分(工事1件)しか証明できませので注意してください。

それでは書き方ですが、

1.工事名

「〇〇ビル新築工事」のように具体的に記入します。

2.工事場所

工事場所がわかるように、字(あざ)、番地まで記入します。

3.工事請負額

正確な金額を税込か税抜のいずれかで記入します。あたりまえですが、建設業許可を取得する前ですので500万円(一式は1,500万円)を超えないはずです。

4.工期

工事開始から工事完成までの具体的な期間を記入します。

5.工事請負人

証明してもらいたい側(発注者ではない方)の名前を記入します。

 

そして、下の証明者欄には、発注者に署名押印をもらえばOKです。

押印は必ず「実印」で押してもらいます。

 

注意事項

最初の方にも書きましたが、発注者証明書は契約書や注文書・発注書の代わりになるものです。必ずしも有効な証明になるとは言えない場合もあります。

特にご自身で申請を考えられている場合には、発注者証明書を発注者に書いてもらう前に一度、滋賀県・土木交通部・管理課・建設業係に問合せをされた方がいいでしょう。

建設業係ホームページはこちら。

 

また、証明書類は3ヶ月以内に発行されたものでなければなりませんので、取得する時期には十分注意してください。

 

 

 

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変更!経営業務の管理責任者の要件が緩和

経営業務の管理責任者の要件が一部緩和されました。

当初、6月1日に施行される予定でしたが、実際には6月30日から以下のように変更されています。
経営業務の管理責任者の要件は、建設業許可を取得するうえで最も難しい要件ですので、今回の変更によって少しは敷居が下がったかもしれません。
建設業許可の取得を諦めかけていた方も、今一度、要件をクリアできていないか確認されてみてはいかがでしょうか?

6月30日に施行された内容を要約すると次の通りです。

 

① 経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって資金調達、技術者等配置、契約締結等の業務全般に従事した経験(補佐経験)の一部拡大

「経営業務の管理責任者に準ずる地位」は、
今まで「業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にある者(法人の場合)」と定められていました。
これが「組合理事、支店長、営業所長又は支配人に次ぐ職制上の地位にある者」における経験も含めて認められるように変更されました。

 

② 他業種における執行役員経験の追加

「執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験」は、
「許可を受けようとする建設業に関する経験」に限定されていました。
これが「許可を受けようとする建設業以外の建設業に関する経験」についても認められるように変更されました。

 

③ 3種類以上の合算評価の実施

「経営業務の管理責任者要件として認められる経験」は、
「一部種類について2種類までの合算評価」が可能でした。
こらが「全ての種類について合算評価」できるように変更されました。

 

④ 他業種経験等の「7年」を「6年」に短縮

経営業務の管理責任者要件として認められる経験のうち、「許可を受けようとする建設業以外の建設業に関する経営業務の管理責任者」としての経験については、
7年以上必要でした。
これが短縮されて、6年で要件を満たせることになりました。

 

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県のマニュアル等ではわからない要件

県が発行しているマニュアル等を読んでも、なかなかわからない事もあります。マニュアルは、一般的なケースの申請をするうえでは、ほぼ完璧な内容なのですが、建設業許可申請においては、この一般的なケースに当てはまらないことが以外に多いものです。

そこで今回は、県のマニュアル等だけでは判断が難しい要件についてみていきたいと思います。

 

マニュアルだけではわからないこと

法改正により「経営業務の管理責任者の要件」が緩和されたことは前回お伝えした通りですが、その中で、経営業務を補佐した経験の拡大というものがありました。

なんとなく、経営業務の管理責任者になりやすくなったというイメージですが、そもそも補佐した経験とは、どのような経験を指すのでしょうか?

以外にマニュアル等を読んだだけでは、わかりづらい要件の一つだと思います。

 

経営業務を補佐した経験とは?

経営業務を補佐した経験とは、簡単に言うと、経営者と同等の仕事をしてきた経験のことだと考えればわかりやすいかもしれません。

たとえば、建設工事の施行に必要な資金の調達や、技術者や技能者の配置、下請業者との契約などが挙げられます。

このような経験が、経営業務全般に従事した経験とされます。

つまり、経営者と同等の立場で、経営業務を補佐した経験ということになります。

 

要件の証明方法について

実際に問題となるのは、その証明方法です。経営業務を補佐した経験に該当するかどうかの判断については、下記の書類を用意して許可行政庁の判断を仰ぐことになります。

※)実際には県の監理課建設業係の判断を仰ぐことになります。

 

①被認定者による経験が役員又は個人に次ぐ職制上の地位における経験に該当することを確認するための資料

【例】組織図、その他これに準ずる書類

 

②被認定者における経験が補佐経験に該当すること及び補佐経験の期間を確認するための資料

【例】過去6年間における請負契約の締結、その他の法人の経営業務に関する決裁書、稟議書、その他これらに準ずる書類

 

審査では、これら以外の資料を求められるケースもありますので、法改正により少し緩和されたとはいえ、やはり証明するのは難しい要件です。

 

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